大崎下島御手洗に築150年の一組限定宿

皆さまこんにちは。よーそろ代表の井上です。
梅雨真っ只中ですが、今日の御手洗は晴れ間あり気持ちの良い海風が路地を通り抜けております。

昨年からリノベーションを続け、2月27日にオープンした一組限定宿”閑月庵新豊”。
やっとこさWebサイトも整いましたのでいよいよ本格的に始動して参ります。

1階は和食レストラン「SEAFRONT DINING新豊」、2階は一組限定宿「閑月庵新豊」

閑月庵新豊Webサイト

古民家改修に問題発生はつきもの。
また地域での活動においても人が少ないぶん、事が動き始めると一気に進み、常に判断を迫られます。
大事なのは軸と柔軟性…不規則な波の動きをどう判断し乗りこなすか…ってビギナーボードで終わっている初心者サーファーの私が偉そうに言えませんが(笑)

実は未だに小さな部分改修を進め、色々なものを足したり引いたりしております。
この角度から見たらここが気になるから板を立てる、この椅子は空間バランス悪いから丸い椅子にするなど。

2011年にオープンしたカフェ若長もだいぶ落ち着きましたが、お客さんの動きを見てもう一つテーブル増やした方がいいとか、昇り降りが大変そうだから踏み台をつくるとか、厨房内でも無駄なく効率よくするために棚がこの位置に欲しい、このメニューはこの道具を使えばより早く提供できるかなど、常に考え、情報を取集し、試し、また考える。当然変えてみたものの元に戻すこともあります。が、元に戻したからこそまた違った角度でそのやり方や在り方を見ることができ新たな発見に繋がっていきました。

はじめることは重要です。が常に変え続けることの方が私は重要に思うのです。
あのサグラダファミリアも完成しない建築として有名だが、時が動く以上、人の心理や行動も動き、そう考えると100%完成はそもそもないのだと。
であるならば思ったことは始めたらいい。や、始めないとその先が見えない。
その一歩一歩の積み重ねが本物をつくっていくのだと思います。
だから、私は思ったことはとにかくやってみる。とにかく動いてみる。でないと後悔するから。

今回1泊4万円~の宿をつくりました。
それだけの料金を頂くのだからとあれもしなくてはこれもしなくてはと不安になることもしばしばありました。
が、この建物の素晴らしさ、料理、風景、流れる時間…関わる仲間たちと共に今までにない御手洗を感じてもらえるものを提供できる自信があります。
あとはそれらを活かす演出、お客さんがどの角度なら受け取っていただきやすいか、タイミングはどうなのか、心の声を聴きその橋渡しをすること。御手洗にまた来たい、またここで過ごしたいと思って頂けるよう様々な魅力を伝えるチャレンジと経験を積み重ねていきたい。

大き目のソファーから絵画を見るように目の前に広がる多島美から朝陽や満月を望むことができる。

この先も様々な難題にぶつかると思います。
その難題も私は乗り越える自信がある。なぜなら私は諦めないから。そのしぶとさが私の一番の武器かな(笑)
御手洗の新たな価値づくりに向け邁進します!

サグラダファミリアは2026年に完成するらしい。

空き家改修の次なるステップへ~江戸時代の町家を一組限定宿に~ 

皆さま、こんにちは。よーそろ代表の井上です。
長らくブログ更新してなくてすみません。。

築103年を超える大正時代の旧越智医院をゲストハウス(旅籠屋醫)として改修しオープンさせたのは今年の3/28。
こちらの右往左往した報告もしたいのですが、また後ほどじっくりするとして・・・。
この度は8月から片付けはじめ、今浄化槽埋め込み、絶賛改装中の江戸時代の町家“新豊(しんとよ)”を引き継いだこと、宿にすると決めた経緯について書いていきたいと思います。

昨年末、私の御手洗での事業づくり第1号である船宿cafe若長の近くに家を持つ御手洗の方から突然連絡があり、
「おい井上君、あそこの物件どんなか??どうにかせんか?」と。
聞くと、その方が昔(約40年前)住んでおられた海沿いの物件。平成三年の台風後に屋根と壁だけは修繕したが、内装や荷物はそのままで今後も帰る予定も活用する見込みもなくどうしようかと親戚の所有者が悩んでいるとのこと。
海沿いの一等地で家の構えがとても立派な物件で、気になっていたところでした。

「お前がやってくれるのが一番ええ!話しちゃるけぇやってくれ! んで、いくらだったら出せる?」と。
「う~ん、、確かに手掛けてみたい物件です。空き家であるのはもったいないし。。。銀行が貸してくれればこのくらいならいけますかね~。。う~ん。。」と私。(→まだ中も、状態も見ていないので何とも言えない感じ。)
「よし、わしが話しちゃるけぇ、ちょっと待っとけ!わしに任せとけ!」と。

「オッケイじゃ!来週ここに来るいいよるけぇ話詰めんさい!」…「は、はい。。」(私)
とその方の勢いに押され(その方は広島に近い場所で事業を起こされ、その地域のパイオニアとして今もご活躍の社長さん。私の活動を見ていてくださりいつも応援してくれる方なのです。)一週間後の話し合いが決まってしまった。

所有者さんもとてもいい方で、その家にまつわるお話を色々聞かせてくださいました。
その家は元々旅館を営んでいたこと、屋号は「新豊(しんとよ)」であること。どうして新豊という屋号なのか。そしてその屋号を残していってほしい事など。

私のやってきたこと、これから実現したいこともお話し、ぜひお願いしたいということに。
私も腹を決め、銀行から融資を受けれたらという条件でしたが、あれよあれよのうちに私が引き継ぐことになりました。

今まで手掛けてきた空き家・古民家5棟は、ほぼDIY。
時間と共に、また提供するサービスやお客さんのニーズによって変わるものであり、常に完成形はないものと考えているので(私の持論)不具合あれば即変更、即改善という形で各店舗を造ってきました。
しかし今回はいつもの改装だけでなく、大きな借り入れ金額が最初にオンされ、マイナスからの事業組み立てをせねばならず。しかも浄化槽のお風呂もなく。。

そのような状況でしたが、しっかりとした存在感ある物件に加え、船宿cafe若長の2階から見る風景以上かもしれない多島美がめいっぱい広がる素晴らしい風景を持っていること、御手洗での宿へのニーズと事業の可能性、私と同い年の建築家、鍵山さんとの出会いもあり、もう行くしかないと(笑)

鍵山さんは、よーそろの役員でありデザイナーである小林さんの旧職場の教え子で、東広島市出身、現在は大阪で活躍する建築家。
面白い建築家がいると紹介を受け、御手洗ミュージアム構想実行委員会の専門家として建築と街全体のバランスを考えたアドバイスを依頼し関わってもらったのが彼との出会いでした。

御手洗初のゲストハウス、旅籠屋醫の改装でも多くのアドバイスを頂きました。エイヤーで、つい粗くやってしまう私達の悪いところ(それでやり直すこともしばしば(笑))をより客観的にアドバイスしてくれました。また、新しいものをつくるのではなく、ここにしかないものをどう活かし、表現の中で伝え残していくか、私達の思いをしっかりと汲み取って提案してくれる素晴らしい建築家でした。

<建築家、鍵山昌信氏:  ア・ティエス環境+建築設計事務所

もちろん、今までにない大がかりな改装がゆえに構造的な問題や旅館業法をクリアするのにも建築家の力は必要でしたが、それ以上に私が組んでみたいと思わせる素晴らしい感性の持ち主だったことが、ここを手掛けたいと、いいものに手掛けることができると決断した大きな理由でした。

今までのDIYも当然行いつつ(予算の関係上・・)、新しいリノベーション、挑戦が始まりました。
あるものを剥がして、掘って、そこからお客さんのニーズに合うものにするため、当然設計通りにはいかず、トラブルは続きます。
それらをどうやって乗り切るか、そのマイナス面であるはずの予想外をどう楽しみ、どうプラスに変えていくか。今までやってきたノウハウをつぎ込み、関わってくれる沢山の仲間たちと共に、どうつくっていくか。
ここはほんと素晴らしい場所になりそうです。

この建物を今に残して下さった先人の方々、元所有者の方、応援してくださる全ての方へ。
どうぞご期待くださいまし!!

オープン予定は来年の2月。
じっくりつくって参ります。
また経過などもご報告しますので、どうぞお楽しみに~♪