ご利益イベント「御手洗詣”三社巡り”」と絵馬プロジェクト

皆さまこんにちは。よーそろ代表の井上です。
先日中国新聞でも取り上げて頂いた御手洗”絵馬プロジェクト”開始の記事。

<2019年11月13日 中国新聞朝刊に掲載>

事業主体は一般社団法人御手洗デザイン工房が行うプロジェクトですが、わたくし井上は事務局長として団体の立ち上げから企画運営など御手洗の次世代を担う若者たちと共に活動しております。
なぜ、このプロジェクトをはじめるに至ったかといいますと、呉市でも少子高齢化の最先端を走り、なおかつ文化財や文化的価値のあるものが多く存在する御手洗が様々な課題を抱えている現状にあります。
人口約200人ほどの御手洗は近隣のまちが次々と文化的行事(お祭りや運動会、その他の活動など)を縮小、消滅させていくなかでなんとか踏ん張り残していく努力をしています。そのような中で、御手洗のコミュティーをつくっている三つの神社の存在は大きく、うち一つの傾いた神社の修繕に少ない住民内での費用負担、神社の手入れや参道の剪定や掃除など負担が重くのしかかる現状とこれからの維持運営に大きな危機感を抱えています。

一方で、ここ6,7年ではUIターン者もあり、空き家も30棟近く解消している成果もあります。昭和の時代にあった沢山の商店は片手で数えるほどに少なくなる中でも、古民家をリノベーションしたお店も増え、メディアへの露出や観光客が徐々に増えているいい兆しも出てきています。
よーそろでは御手洗の文化、歴史ある建物をいくつかリノベーションし仲間と共に様々なサービスもつくってきましたが、歩いても小一時間ほどで回れる御手洗のまち全体を使った観光体験プログラムが何かないかと考えていたこともありました。

そのような状況の中で、神社の将来的な維持管理の仕組み、そして観光に来るお客さんへの体験と御手洗の文化を伝えるアクションが”絵馬プロジェクト”だったわけです。

古くから馬は神の乗り物とされ祭りや雨乞いのときには神に馬を奉納する習わしがありました。時代と共に木馬や土馬になり(2100年以上の歴史を持つ隣町、宇津神社にもあります)、江戸時代にはその名残で庶民の間に絵馬が広がりました。宇津神社には江戸・明治時代、北前船が絵師に描かせた船絵馬も100点以上奉納され、今も色鮮やかなままで残されています。
商売や旅の途中に各地を訪れ、商売繁盛や航海安全、無病息災などを祈願してきたのが日本文化なのです。

 宇津神社に残る船絵馬

御手洗デザイン工房もボランティアのみならず持続可能な運営の仕組みを模索し自主運営しなければいけません。補助金に頼らず、地域の資源を掘り起こし、磨き、次世代に繋げるため自ら稼ぐことはとても重要です。ただ有志による少ない資金で運営をスタートし大きなリスクが取れないのも現状です。

この度、デザインしたデータを読み込み、よーそろで木材の形を切り出しする機械を購入しました。
そうです、この3種類の絵馬は御手洗で製作しています。
機械の操作、不具合にあいながらもコツコツ丁寧に製作を続けています。

右から恵美須神社(打ち出の小槌)天満神社(筆塚)、住吉神社(高燈籠)の絵馬

右から恵美須神社(打ち出の小槌モチーフ:商売繁盛)、天満神社(筆塚モチーフ:学業成就)、住吉神社(高燈籠モチーフ:航海安全)の絵馬。770円/枚 潮待ち館にて販売。

設立25年、島内外会員合わせて150名にも上る任意団体”重伝建を考える会”にしかできないこと、その下部組織であり重伝建を考える会にはできないが事業性あるものにも取り組める”御手洗デザイン工房”でしかできないこと、それら各種団体ではできない”よーそろ”にしかできないことを長所を活かし合いながらやればいいと思っています。結果的にどのような町にしたいのか、そこでどのように暮らしていきたいのか、その方向性とビジョンに共に向かうことができれば。

京都や大阪で昨今騒がれているオーバーツーリズム。御手洗が発展していくために観光振興は進めていかなければいけません。そのための重要伝統的建造物群保存地区選定であり、日本遺産登録なのです。しかし、観光に来るお客様が年に100万人も来られると御手洗が大事にしてきた風情、文化が損なわれる可能性があり、文化も景観も仕事もその中に含まれる”暮らし”を守り続けていくことが最も重要であると考えます。なので観光振興は目的ではなく手段なのです。

そのようなことを考えた場合、御手洗を訪れるお客さんにどう過ごしてもらいたいかを伝えることはとても重要なことです。
種から育て家々に花を飾る御手洗の女性部”さくら部”の活動やまちづくり憲章の看板を掲げたアクションもそうですが、私たちは御手洗という町でどのように過ごし、その思いを訪れる方々とどのように共有したいかということを伝えていく必要があります。
御手洗という地名はお清めの場所にも用いられるインパクトのある珍しい名前でもあり、心洗われる風景だと訪れる方々が仰るように、私たちもそのように過ごしたく、過ごしてほしいと望んでいます。そのような意味でも今回のプロジェクト実施において御手洗の町をお清めの場所としてご利益のある場所として大事に過ごして頂くようなブランディングを図っていきたいという意図もあります。

御手洗の町、今に続く文化を残してくれた先人たちの思いに敬意を払い、御手洗を愛する人たちとじわじわとその輪を広げつつ、次の世代へ御手洗の素晴らしい景観、文化、暮らしをバトンタッチしていけたらと思っています。

今月23日はご利益イベント「御手洗詣”三社巡り”」を行います。
岩屋工房さんによるご利益ワークショップ「縁起文字で飾るお皿をつくろう」や「つまみ細工で作る梅モチーフの魔除けストラップ」 (弊社井上由美)の開催やご利益ガイドツアーなどご利益のありそ~なご利益デイに。

ぜひご参加くださいませ。
よーそろー!